GMATを受験する皆様へ
GMATは「大事だけれども、それだけではMBA合否は決まらない、相当難しいけど一発勝負でもない、英語母国語だと有利なテスト」です。
一朝一夕には終わりませんが早い人なら3ヵ月、6ヵ月あれば充分に、ゆっくり1年かければ存分にやり切れます。その上、現行GMAT及びMBA受験は
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GMATはスコア確認後にキャンセル可能
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GREという代わりの手段
というわけで、GMAT = 乗り越えられるハードルと思える状況が整いつつあります。
1. GMAT試験概要(2023/2024からのFocus Edition)
GMAT Focus EditionはData Insights、Quantitative及びVerbalの3セクションから構成され約2時間強の試験です。
1 - 1.Data Insights(45分/20問):
Data Sufficiency、Table Analysisなどデータや表から解答を導出します
1 - 2.Quantitative Reasoning(45分/21問):
Problem Solving、シンプルに言えばarithmetic(算数)とalgebra(代数)の基礎的な問題です。高度な数学(複素数や微分積分)は不要です。
1 - 3.Verbal Reasoning(45分/23問):
英語の現代文のような選択式の問題です。Reading Comprehension(読解、通称RC)、Critical Reasoning(論理クイズ, 通称CR)の2タイプが出題されます
GMAT Focus Edition と 旧バージョンはスコアや形式が異なり、同じパーセンタイル・順位なら前者の方が40-50点くらい低いです。つまり、
655 (Focus Edition) = 700 (旧バージョン)
が一つの目安になりますので、受験体験記やビジネススクールのAdmissionsクラスプロフィールをチェックする際にご注意ください。
旧バージョンからの変更ポイント
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Data Insightsがトータルスコアに含まれる
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AWA/Sentence Correctionがない
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Data SufficiencyがData insightsへ移った
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解答の見直しが3問できる
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スコアレンジの変更
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V / Q /DI のどれからでも受験可能
各セクションについて詳細や対策を紹介しておりまよろしければリンクよりご参照ください
(旧バージョンを参考まで )
昔のGMATはQuantitative及びVerbalの2セクションから構成されるトータルスコア、AWAとIRは独立したスコアで約3時間強と長丁場の試験でした。
1.AWA(Analytical Writing Assessment、30分): Argumentを分析し、批評を記述します。
2.IR(Integrated Reasoning、30分): データや表から解答を導出します
3.Quantitative(45分): Problem SolvingとData Sufficiencyの2タイプが出題されます。いずれも数学とIQテストを織りまぜた選択式の問題です
4.Verbal(45分): 英語の現代文のような選択式の問題です。Sentence Correctoin(文法、通称SC)、Reading Comprehension(読解、通称RC)、Critical Reasoning(論理クイズ, 通称CR)の3タイプが出題されます
旧バージョンにおいてもVerbalが難関でした。AWAとIRはそれぞれ個別に採点され、QuantitativeとVerbalは個別に採点されるのに加えて800満点のTotalが算出されます。さらに、キャンセルするとスコアの閲覧が不可だった時代、スコアが表示される瞬間は現行バージョン以上にドキドキでした。
2. 知っておきたいGMAT
2 - 1. GMATは便利な選抜ツール
多くの大学院やMBA、特にスタンフォード大学やハーバード大学などトップスクールでは合格率が10%〜ですから、過半数の出願者に不合格を下さなければなりません。その際に、GMATは有用なツールと言えます。同様に出願者の立場から志望校を選ぶ際にもMBAランキングと並びGMATスコアは有用です。
2 - 2. 世界中のMBAへの出願要件
GMAT(General Management Admissions Test)は多くのMBAと一部のMasterプログラムへ出願要件です。MBAを目指す受験生にとっては受験の最難関と言っても過言ではないでしょう。MBA在校生や卒業生ならば、GMATの大変さはあるある話です。GMATもしくはGREが課されていないトップMBAを見つけるのは困難ですが、EMBAでは免除や基準スコアが低い傾向にあります。
2 - 3. 学力を測るテストであり、英語力は前提条件
GMATがなぜMBA入試に用いられているのか?について公式サイトに掲載されています。GMATは主に言語能力、数学力及び分析力を測定し、MBAに相応しい学力を有しているかを判断する一助となるよう設計されています、と説明されています。つまり、GMATで高得点ならば一定以上の学力を有していることの証明、というわけです。
2 - 4. CATルール
Computer Adaptive Test、通称CATという日本ではほぼ見ない出題形式です。「正解するとどんどん難しい問題、不正解だと簡単な問題」というように受験者ごとに出題が試験中にカスタマイズされる仕組みです。そのため、「手応えがないのに700点」「よくできたと思ったら600未満」と言った受験体験記が数多くあります。
2 - 5. 定期的にルールが変更
Focus Editionへの移行が2023/2024年にかけてありました。受験申込やスコア送付はGMAT 公式サイトから申し込みします。GMAT受験当日は本人確認のためパスポートが必要ですので必ずもっていくようにしましょう。また、受験ルールやスコアキャンセルなどルールは不定期に変更されていますので注意が必要です。
2 - 6. 英語が母国語/外国語を問わない
GMAT Verbalは明らかに母国語が英語の受験者にとって有利です。しかしながらそのような言い訳やGMAT運営者からのハンデはありません。英語力はグローバルリーダーを目指す上で当たり前ですから、TOEFLと違い受験者全員が同じスタートラインです。
2 - 7. 受験回数、頻度に制限がある
GMATは受験回数の制限がありますのでご注意ください。
365日で何回まで、前回からの日数、生涯受験回数
2 - 8. 本番はパソコン
GMATは出題も解答もパソコンで行いますので、オフィシャルガイドなど書籍で勉強してきたとしても、試験前にはパソコン画面で英語を扱う猛特訓が必要です。特にVerbalはパソコン画面上で読むのは本で読むのとは勝手が違いますのでご注意ください。
2 - 9. 複数回受験 & 一番良いスコアだけで良い
過去には「キャンセルするとスコアが見れない」というえげつないルールがありましたが、現在は「スコアを見て送る送らないを判断できる」ルールがへ変わりました。
厳密に言えば途中マイナーチェンジもあるのですが、「スコアを確認してから判断すれば良い」というルールになってからは回数制限の範囲内で受験回数を使い切れるようになり、最高スコアのみの申告
↓
GMATスコアのボーダーラインがあがる傾向
2 - 10. 上位10%が目標スコアの目安
Focus Edition以前のスコアはおよそこんなかんじでした
Total 700 上位10%
V 35 上位25%
Q 50 上位10%
Focus Editionにおいてもトータル上位10%であればアメリカ/ヨーロッパ/アジアどこでも狙えるスコア(もちろん、各地域のトップスクールと上位校は異なりますが)
2 - 11. スコアメイクは出願締め切りの3ヶ月前までに
GMATをクリアすると海外留学が目標から現実になります。実質的な学校選びが始まるのはスコアメイク後からです。特に社費選抜の方は特に出願タイミングの締め切りがありますので、GMATが疎かになるか、完成度の低いエッセイで出願することにならぬよう計画性が大事です。
2 - 12. 標準誤差が30~40
The standard error of measurement is 30-40 points.Total scores are based on your calculated performance
GMAT Handbookにはこのようなスコア精度に関する記述があります。標準誤差という統計値です。「Standard errorが30-40」ならばは5%確率で60程度の差は起きます。GMATはCATに基づいてできるだけ正確に受験者の能力を測るように設計されていますが、限られた時間と問題数ではその推測精度に限界があるようです。
2 - 13. GMATを理由に不合格
GMATスコアが一定基準に満たない場合、インタビュー以前に門前払いになってしまう可能性が相当あります。ビジネススクールをはじめとする海外大学院にとってランキング、評判、ブランド力は生命線であり、GMATがそれらの構成要素だからです。
3 - 1. GMAT英語力 = 語彙 × 読解 × 表現
英語が母国語でも、職場の社内公用語でも、英語圏で暮らしていても、TOEFL/IELTSが高得点でもGMATが解けるとは限りません。GMATに必要な英語力とは「英語というツールをさらに高次元で扱えるかどうかが試されている」と考えると出題の意図が見えてきます。
Reading Comprehensionではパッセージに書いてある内容だけしか読み取れなければ、問題のうち半分も答えられないでしょう。一例として、パッセージの主題に関する問題は「結局何を言おうとしているのだろうか」、つまりは木を見て森を見ずになっていないか問われています。
Critical Reasoningでは英文を媒体として「ジグゾーパズルの最後のピースはどれか?」、もしくは詰め将棋のようにロジックを突き詰めて考えなくてはなりません。
Sentence Correctionにおいても、この文、文章が言いたいことを踏まえるとどの選択肢が相応しいのか?という視点が必要です。単なる文法の暗記ではなく英語表現がわかっていなければ太刀打ちできないのは明白です。
GMAT VerbalはTOEFLに必要な英語力とは質的に違います。カウンセラーのように文章から心理や感情まで読み解いたり、弁護士のように明瞭で説得力のある論法を英語でできるかどうかなのだろうと思います。TOEFLが100以上であればクリアしていると考えておりますが、GMAT本番1週間前から頭は英語モードに切り換えておくことをお薦めいたします。
しかし、英語力が第一関門であるものの、これで終わりではありません。第二関門に論理的思考力が待ち構えています。
3 - 2. 論理的思考力
論理的思考力なしでケースメソッドに臨めば空振り三振
GMATはなぜこれほどまでに論理的思考力を問うのでしょうか。QuantitativeやData Insightsは言わずもがなですが、VerbalもCritical Reasoningを筆頭に論理的思考力なしに正答することは難しいです。Quantitativeが高得点ならばまず問題ないでしょう.
論理的思考力がケースメソッドに求められているからではないかとGMAT Learningは考えております。ケース教材にはストーリー、財務諸表や市場調査などデータやそのグラフが載っています。ストーリーやデータから登場人物や企業がどのような状況だったのか分析する肝が論理的思考力です。
また、ケースメソッドはディスカッションを通じて学ぶスタイルです。自分勝手にアイデアや意見を言うのではなく、ケースや教科書に基づいた発言でないと評価されません(← もちろん、自身の経験もアリです)。論理的思考力がなくては、ディスカッションにおいて効果的な主張や反論が難しいです。 ディスカッションが脱線したり空振りばかりになっては、学びが小さくなってしまう懸念があります。
英語力と論理的思考力を分けて、GMATを効率的に学習する
1.英語力 と 2.論理的思考力 のどちらに力を入れるべきかは、もしも英語ではなく日本語で出題されたとしたら正答できるか、を考えます。
日本語でなら正答できるが自信があるがGMATは苦手 → 英語力を鍛えるべき
TOEFLが高得点、数学やIQテストが苦手 → 数学を勉強して、論理的思考力を鍛える
3 - 3. 把握力=GMATをいかに理解しているか
「TOEFLスコアが100を超えている、Quantitative/Data Insightsも合格点にもかかわらずVerbalだけはどれだけ勉強してスコアがが伸びない」このような悩みを抱えている方は少なくありません。
把握力とは「GMATの問題パターンや問われていることを理解する速さ、また理解の深さ」です。GMATの問題パターンを理解していれば解答時間を短縮できます。GMAT学習、特にVerbal/Data Insights対策には英語力だけでなく把握力の養成も重要です。
GMAT学習、特にVerbal対策の本丸は把握力の養成ではないかと考えております。スコアが上がらない原因を英語力と考えがちですが、把握力の不足も影響しているのではないかと考えております。
英語力と論理的思考力に続くVerbal攻略の1ピースに把握力を挙げます。GMATがよくわかっているか、それともあまり理解できていないかで相当の差が出ると考えております。
具体的には
1.出題パターン、特に問題文を把握
2.パッセージの中で必要な情報とその使われ方を把握
3.問われている論理、文章の構成を把握
のようなイメージです。
これらの点について、最終目標は「本番で意識せずに自然と頭に入ってくる」状態になることです。Verbalは時間との勝負です、いかに時間をかけずに把握できるかにかかってきます。
簡単レベルの問題で慣れてしまうことをお薦めしています。知っているではなく、慣れてしまうまで自分のものにできるかが肝心です。GMATに慣れておけば、標準/難関レベルは難しいけど解けるようになると考えています。
時に「GMATは独特なルール」「GMATの中でのみ成立するルール」と言われることがあります。そうならばそのルールをしっかりと身に付けた方が有利です。
把握力と「力」と書いていますが、鍛えるというよりも準備するに近いです。GMAT学習からやみくもを排除して、準備すれば把握力は身に付けられると考えております。
4. GMAT目標スコア
GMAT Focus Edition と 旧バージョンはスコアや形式が異なり、同じパーセンタイル・順位なら前者の方が40-50点くらい低いです。つまり、
645 (Focus Edition) = 700 (旧バージョン)
が一つの目安になりますので、受験体験記やビジネススクールのAdmissionsクラスプロフィールをチェックする際にご注意ください
GMAT Learning beyond 700は最初の目標として3ヵ月で670 (V33 & Q48)をお薦めしています。なぜ670なのかは単純な理由で、INSEADが推奨し、London Business Schoolに合格者がいるからです。
また、670あれば米国トップスクール(およそトップ 10~15位くらいまで)についてもなんとか合格下限に滑り込める学校が出てきます。
Total 670 上位20~25%
V 33 上位30~35%
Q 48 上位30~35%
INSEADのホームページにVerbal, Quantitative両方で上位25-30%と記載されていた時期があります(注意:INSEADのGMAT平均は700前後です)。欧州トップ2であるLondon Business SchoolとINSEADにはGMAT 650から合格者がいます。600半ばで合格している方がいるのを知るとやる気と安堵感が出てきます(笑)
670 (V33 & Q48)を目指す上で中間点はV28 & Q48が五合目、V30 & Q48 が七合目 ⇒ 640です。
Total 640 上位30%
V 30 上位40%
Q 48 上位30%
Critical Reasoningっぽく説明すると670は多くのヨーロッパ・アジアMBAでGMAT 80%レンジに含まれます。従って、 670はINSEAD/London Business Schoolと同様、他のトップスクールにおいても最低限の点数をクリアしたと推測されます。
とは言うものの地域ごとの合格者GMATスコア is アメリカ > ヨーロッパ > アジア
-
アメリカ MBA -> GMAT 700 or GRE 325 = top 10%
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ヨーロッパ MBA -> GMAT 680 or GRE 320 = top 15-20%
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アジア MBA -> GMAT 650 or GRE 315 = top 25%
-
一橋大 MBA> GMAT 640 or GRE 312
英語が母国語の学生比率を考慮すれば別に驚かない、あたりまえの傾向だと思います。GMAT Verbalは特に英語が母国語だと有利です。反対にQuantitativeスコアは相対的に言語力のハードルが低いですから母国語に関係なく、日本人MBA志願者の得点源となっています。
MBA最難関校を目指すにはTotal 700以上、Verbalは35(上位25%)が必要なスコアの目安です。Verbal 35とQuantitative 50を獲得すれば、Totalスコアは700前後(上位10%)になります。英語が母国語、英語圏への留学経験者を含めた母集団でこの成績は決して容易いものではありません。
一般に、日本人合格者においてもアメリカへ留学されている方がヨーロッパ、アジアへの留学者と比較して、TOEFLやGMATで高得点を獲得しているようです。初回もしくは2回目で700点を獲得した方もいますが、3回以上の受験をしている方も受験体験記を見る限り多いです。GMAT対策を開始してから目標スコア獲得まで1年以上を費やしている方もいます。
2024年時点において、GMATはキャンセル可能な試験ですから回数制限の範囲内で最高得点を目指せば良いだけの話です(それでも難しいのですが)
GMAT平均スコア(Mean/Average)
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Stanford 738
-
UC Berkeley 733
-
NYU Stern 732
-
Northwestern Kellogg 731
-
Columbia 730
-
Michigan Ross 728
Wharton UPenn 728
Chicago Booth 728
-
Dartmouth Tuck 727
-
USC Marshall 722
-
Virginia Darden 718
-
UCLA 714
-
UNC Kenan Flagler 707
-
Carnegie Mellon Tepper 705
Emory Goizueta 705
-
UTexas McCombs 704
-
Vanderbilt Owen 687
-
Indiana Kelly 683
GMAT中央値スコア(Median)
-
Harvard 740
UC Berkeley 740
-
Yale 730
MIT Sloan 730
Chicago 730
-
Varginia Darden 720
-
Carnegie Mellon Tepper 710
Cornell 710
-
Vanderbilt Owen 690
5. 学習スケジュール
出願準備の中でGMATをいつやるか?について、一例として提案したく存じます。
1.いつからGMAT学習を始めるか
2.どの順序で学習していくか
を大まかに押さえればよいと考えています。
1. いつから学習を始めるか ⇒ いつ開始してもOK
GMATは1ヶ月では範囲学習が終わりません。英語脳やVerbal演習はある程度集中的にやるべき、という意見もあります。しかしながら、範囲学習、つまり「GMATがどのような試験か」「どのような出題内容か」「自分自身の英語力と各セクションに対する到達具合」は早いうちにスタートして問題ないと考えています。
1 - 1 QuantitativeとData Insightsは英語力を問わず及第点(上位25%)を獲得可能
1 - 2 Verbalも英語力を問わず簡単レベルから出題パターンを習い始めて良いと考えております
1 - 3 GMAT Prep/Exam PackでReading Comprehension/Critical Reasoningの実力を確認しつつ難し過ぎると感じたら戻りましょう
2.どの順序で学習していくか
2 - 1 Reading Comprehension/Critical Reasoning 全て簡単レベルから
2 - 2 TOEFL Reading 26を超えたら本格的なVerbal対策、標準レベル以上の問題に挑戦
2 - 3 Reading Comprehension難関レベル以上はTOEFL Readingが28以上で安定してから
2 - 4 1問あたりの解答時間を意識するのは学習の後半、「時間をかければ標準レベルは正答できる実力」になってから
2 - 5 Verbalは平均点か中央値が五合目、上位33%が七合目
おすすめ3ヵ月プラン
1カ月目: GMATを学ぶ、GMATに慣れる
Quantitative/Data Insights簡単レベルを仕上げます
Verbalの簡単レベルを丁寧に解き、問題パターンと着眼点を学ぶ
終わりにExam Pack(1回目)に挑戦し、どれだけ難しいかを体験
2カ月目前半: Verbal対策の本丸
Verbalの簡単レベルの復習、標準レベルを一通り挑戦
Quantitative/Data Insightsを標準レベルを仕上げます
Exam Pack(2回目)に挑戦し1回目より進歩していればOK
2カ月目後半: Verbal学習の仕上げ
Verbal RC/CR標準レベルの復習、英文法/英語表現を学ぶ
Quantitative/Data Insights標準レベルの続き
Exam Pack(3回目)に挑戦(Vは平均点か中央値、Q/DI上位25 ~ 33%)が目安
3カ月目前半: 時間を意識した演習スタート
Verbal標準レベルを時間を測って解いてみる
Quantitative/Data Insights難関レベルを丁寧に解き、標準レベルとの違いを学ぶ
3カ月目後半: 本番を想定したVerbal演習
Verbal 標準時間を測りながら解く + 難関レベルに挑戦
Verbal CR & Quantitative/Data Insightsの苦手分野を復習
Exam Pack(4回目)に挑戦(Vは33%、Q/DI上位25 %)が目標
学習スケジュールについて当方の考え方や詳細は以下の通りです
(長いのでお時間が許す時もしくは勉強方針に迷った際にご参考になればと存じます)
1. いつから学習を始めるか
極端に言えば留学を本格的に考える前でもよいと思います。英語力がそれほどでない時点からGMAT学習を開始するのかについては三つの理由があります。
一つ目は時間の重みが一様ではなく佳境の時期に向けて負担を減らすべきだから
出願準備の終盤はエッセイや学校研究で忙しくなりますし、GMATを重視すればそれらがおざなりになってしまいます。RCの演習以外は忘却曲線がそこまで急ではありませんので、前もって準備してしまえばよいと考えています。
二つ目はGMATを理解すること、慣れることが英語力と同じくらい大切だから
GMATの出題パターンは狭くはないですが、ほぼ決まっています。一問一問「どういう問題なのか?正答するのに事前に知っておく必要があるか?問題/パッセージ中に着目すべき内容は?」と問題を解剖する感覚で解いてみることをおすすめします。
英語力で勝負するのはネイティブレベルでこそ成立する戦略で、わざわざ形勢不利な勝負を挑む必要はないと思います。
三つ目はGMATはTOEFL/IELTSよりも合否に影響するから
受験者の母集団を考えるとTOEFL/IELTSは英語力のみだろうと思います。語学留学から大学院まで幅広い受験者層向けがTOEFL/IELTSです。実際、TOEFL/IELTSは英語圏の学部卒ならば免除になり、MIT Sloan, Yale SOMなどTOEFL/IELTSが不要なMBAもあります。
一方、GMAT/GREは大学院用かつ全出願者に課せられます。これは英語力とは別の能力・スキルを測っていることを示し、大学院レベルで学ぶにふさわしいのか、ということです。
これらを踏まえて以下を提案しております。
1 - 1 QuantitativeとData Insightsは英語力を問わず学習開始から完了まで到達でき、真っ先にこの2つを仕上げて安心材料にしてしまうことをおすすめします。およそ2ヵ月で及第点(上位25 ~ 33%)、GMAT Prep/Exam Packが上位10 ~ 25%で安定すればDoneです。
Data Insightsは分析する視点と表の見方、解答アプローチを押さえることが大切です
1 - 2 Verbalについても早めに始めてよいと考えております。オフィシャルガイドは簡単、標準と難関レベル別になっており、最初の1か月で簡単レベルを一通り挑戦してください。
GMATらしさは簡単レベルにも十分含まれていますので、ウォームアップに最適です。
1 - 3 GMAT Prep/Exam Pack等で実力確認及びテスト形式に徐々に慣れていきます。この時点では点数に一喜一憂する必要は全くありません。Exam Packには各セクションのパフォーマンスが載りますので復習すべき分野を確認しましょう。
GMAT Official Practice Exams: https://www.mba.com/exam-prep
2. どの順序で学習していくか
2-1 Verbal/Quantitative&Data Insights全て簡単なレベルから
簡単レベルは英語力が難しくないからこそ、GMATの理解に最適です。出題パターン、着眼点、解法の学習が後々役に立ちます。いきなり難関レベルに挑戦して、解答を読んでも意味不明という状況は避けたいです。
2-2 TOEFL Reading 26を超えたら本格的なVerbal対策
簡単レベルで培った基礎とTOEFL Readingがあれば、標準レベル以降もどうにもならない難しさではないと思います。問題を解剖するように一問一問学びを大切に進めていきます。RC/CRの標準レベル、着眼点、解法アプローチを身に付けます。
標準レベルが7割解けるようになってから1問あたりの時間を意識すれば、自ずと解答時間も短くなっていきます。
2-3 Verbal/Data Insightsの難関レベル以上はTOEFL Readingが28以上
難関レベルは難しいです、特にRCの難関レベルはTOEFLよりも難易度がかなり上です。3ヵ月プランを紹介していますが、Verbal難関レベルは勉強量・学習期間だけでは測れません。
巷でよく言われる「GMATは短期集中、短期決戦」ですが、上記の3ヵ月目後半や受験直前期は2時間ぶっ通しで演習して英語脳モードにしておきましょう。
TOEFL/エッセイとの同時並行については、GMAT学習のうち試験直前の追い込みを除いて大部分は可能とのスタンスです。
↕言い換えると
GMAT学習はコツコツでも大丈夫です(もちろん3ヵ月一気に集中してやるのも良いことですが)。
GMATが苦手ならGREで出願すればよいだけ
MBA受験の難所と言えばGMATが浮かびますが、GMATの代わりにGREで出願できます。GMATで受験回数の制限に引っかかる、GMAT Verbalが苦手ならばGREを検討してみてはどうでしょうか。
多くのMBAでGREスコアを受け入れています。ハーバード、スタンフォード、INSEAD、LBSの4校はいずれもGREを受け入れしていますので、どうしてもトップ校に入りたい!という方もなんの心配も要りません。
他のMBAも「GMATのみでGREは不可」という学校を探す方が難しいです。GMAT & GRE どちらもOK!が多数派です。
一例として「GRE or GMATに優劣はないです」と明言しているのが
-
MIT Sloan
-
Stanford (GMAT が6割 & GREは4割)
-
Wharton UPenn
-
Harvard (GMAT が6割 & GREは4割)
GREのQuantitativeはGMATより簡単
数学レベルはGMATと比較して簡単と言ってよいと思います。GMATよりも簡単ですし、GMATでは論理的に考える必要がありますが、GREは考えるというより計算する問題であまりひねっていないです。数学が苦手な方にとってはGMATよりも解答しやすいはずです。
GMATのQuantitative対策をしている方であれば、GRE Quantitativeにも対応できる、追加の対策もそこまで負担ではないのでしょうか。
GREのVerbalは文法がほぼ不要、単語が難解
GREのVerbalはとにかく単語力です。初めてみる単語も少なくないですし、GRE受験の後は一生使わないであろう単語も多いです。高得点は単語力なくして可能性が低いですから、コツコツ単語の勉強が苦痛な方、語彙力を向上させる時間をかけられない方はGREには向かないです。
反対に、GREに相性が良いのは難解な文章や論理クイズがそこまで得意ではないけれど、簡単な作業を継続できる人はGMATよりもGREのほうが攻略しやすいかもしれません。
GREは英作文あり
GMATはFocus EditionからAWA(英作文)が不要になりましたが、GREは英作文が独立したセクションとしてあります。TOEFLのWritingとは異なりIntegratedではありませんが、大学卒業の受験者仕様ですのでフォーマル( or アカデミック)な英作文が求められます。
スコア及第点
Verbal 150 & Quantitative 165 → GMAT換算 650
GMAT Verbalが苦手ならばGRE POWER Prepをチャレンジしてみてはいかがでしょうか。[GRE POWERPREP]と検索すれば、GMAT Practice ExamのGRE版が出てきます。
Verbal 150 & Quantitative 165を獲得できれば GMAT換算 650前後ですから、GMAT or GREのどちらに適性があるか判断材料にできます。
目標は Verbal 157 & Quantitative 167 → Total 324 ≒ GMAT 700
仮定:決定的に違う、というほどの適性がGMAT/GREにはないのでは
MBAへの出願はGMATだけでなくGREで可能なビジネススクールがほとんどです。GMATで測る能力とGREで測る能力がどこまで違うか、と問われればかなり重複しているから多くのビジネススクールがOKと言っていると考えております。
どのくらい違う、特に勉強面の準備で言えば、次の違いと比較すればGRE/GMATの違いの方が明らかに小さいだろうと思います。
・大学受験における「物理・化学・生物」「世界史・日本史」「地理・地学」の科目間の違い
・お医者さんの「循環器内科・呼吸器内科・消化器内科」など同じ内科における専門
・弁護士の「商法・民法・刑法」など六法の違い
MBA受験に関連した「距離感」という観点で言えば
・GMATにおけるReadingの重要性 と TOEFLにおけるListeningの重要性
・TOEFL対策とIELTS対策 (←スコア換算ではなく、対策方法の話です)
スポーツに例えると
・陸上の走り幅跳びと三段跳び
くらいの違いかと思います(=そこまで離れてないことを意味する例えで用いてます)
GREにも受験回数や頻度の制限があります
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12カ月(365日)で5回までしか受験できません(キャンセルも1回)
-
21日に1回
-
Score Select Optionというオプションをスコア送付を選択できる(ほぼデフォルト)
GREスコア
GRE平均スコア(Average/Mean)
-
Stanford V164 & Q164
-
UCLA V162 & Q165
-
Chicago Booth V162 & Q163
-
Wharton UPenn V162 & Q162
-
UC Berkeley V161 & Q163
-
USC Marshall V160 & Q163
-
Dartmouth Tuck V161 & Q161
-
UTexas Mccombs V160 & Q161
-
Michigan Ross V159 & Q162
-
Indiana Kelly V158 & Q161
-
*Hitotsubashi (Japan) V156 & Q166
GRE中央値スコア(Median)
-
Yale V164 & Q166
-
UC Berkeley V162 & Q165
-
Harvard V163 & Q163
NYU Stern V163 & Q163
Northwestern Kellogg V163 & Q163
GRE Verbal Mid80%スコア(上位90%の下限)
-
Yale 159
-
NYU Stern 158
-
MIT Sloan 157
Harvard 157
-
Michigan Ross 155
GRE Quantitative Mid80%スコア(上位90%の下限)
-
Yale 161
-
MIT Sloan 159
-
NYU Stern 157
Michigan Ross 157
Harvard 157
*GRE Mid80%スコア(上位90%)
Carnegie Mellon Tepper 314
Varginia Darden 311
Duke 305
GMATの各セクションはMBAの予行演習
MBAの特徴的な授業スタイルにケースメソッドがあります。
予めケースや関連書籍を読んだ上で授業に臨み、ディスカッション形式で学生同士が意見やアイデアを発言して進行していきます。MBAでの勉強量が非常に多くてきついという声は、おそらくケースメソッドへの準備が大変なことが関係しています。
Reading Comprehensionのように速読して内容を把握する能力というのは、大量の書物を効率的に読んで概要を掴んで必要な情報を拾ってくる作業と共通しています。ケースメソッドでは経営陣やマネージャーの立場になって自分ならばこうする、という決断が求められますから、ケースから状況を想像しうるだけの読解力は必須でしょう。
また、学生同士で肯定や反論を論理的に発言しなくてはなりません。これはCritical ReasoningやAWAの分析や反論に近い作業です。レポート課題も少なくないですから、ビジネスシチュエーションに相応しい文章力も必要と考えられます。
時に発言に対してクラスメートから反論されることもあるでしょう。伝え方に工夫をしなければ、対立してしまうかもしれません。ガチンコのディスカッションに参加するには、ロジックや根拠を用いるのが有効ですが、その時にはCritical Reasoningが活きるでしょう。
GMATでは選択肢から1つの正解を選ぶ作業ですが、MBAの授業では具体的な選択肢は与えられないことが多いです。仮定や取りうる戦略を自身で設定しなくてはなりませんから、「もしこうならば、、、こういうことが言える」というのはData Sufficiencyそのものです。
QuantitiativeはMBA、公共政策大学院や経済学大学院だけでなく多くの学問領域において定量的、統計的な分析や評価は必須と言って良いくらいです。MBAだけを覗いてもROE、ROIやディスカウントキャッシュフロー、営業利益率と数多くの数値をその定義と正しく理解して使いこなす必要があります。数字と定義、単位の扱いに苦手があっては授業やグループワークで貢献できないでしょう。
GMAT Learning beyond 700はMBAをはじめ海外大学院を目指す方を応援する学習サイトです。GMAT学習歴、TOEFLスコア、社費・私費などを全て問いません。MBA出願やスコアメイクの一助となれば幸いです。
以下の各リンクよりGMATや英語学習についてご参照いただけます。
ちょっとしたコラムや当ページの補足説明になります。
過去のGMATセクションについて紹介しております。
GMAT Learning beyond 700はFocus Edition以前の旧バージョンGMATに基づいた内容を含みます。
GMAT Focus Edition と 旧バージョンはスコアや形式が異なり、同じパーセンタイル・順位なら前者の方が40-50点くらい低いです。
645 (Focus Edition) = 700 (旧バージョン)
605 (Focus Edition) = 650 (旧バージョン)
がスコア換算の目安になります。受験体験記やビジネススクールのAdmissionsクラスプロフィールをチェックする際にご注意ください。